恋とバグは仕様です。 ~営業スマイルで喧嘩して、恋に落ちるまで~
第4章「俺が、お前のバグもバグごと愛すよ」

01|仕様変更のお知らせ

 告白の翌日。

「……おはようございます」

「……ああ、おはよう」

 社内の空気は昨日と同じなのに、凛と遥人の間には、まるで“アップデート後”のような緊張があった。

(……昨日の告白、夢じゃなかった)

(ちゃんと「好きだ」って言われた。ちゃんと「付き合って」って……)

 いつも通りの朝なのに、ちょっとの視線や言葉に、胸が熱を持つ。

「えーっと……その、昨日の件だけど……」

「うん?」

「……考えて、ちゃんと、答えたい」

「……うん」

 そんなふうに、不器用ながらも“付き合う前提”の空気がふたりの間に流れていた。

 ただ──手を繋いだわけでも、キスをしたわけでもない。
 けれど確かに、心は今、少しずつ近づいていた。



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