恋とバグは仕様です。 ~営業スマイルで喧嘩して、恋に落ちるまで~
第5章「エラーになっても、君といたい」
01|プロジェクト終了のお知らせ
「──Virtual Pair、本日をもって正式リリースです!」
拍手がオフィスに響いた。
開発期間半年。AI恋愛シミュレーションアプリ『Virtual Pair』はついに完成した。
関係者全員が、達成感と誇りに満ちた顔でモニターを見つめている。
その輪の中で、凛と遥人は静かに頷き合っていた。
──これが、ふたりが仮想恋人から本物になったきっかけだった。
「……長かったね」
「ほんと、いろんな意味で」
苦笑する凛の横で、遥人がぼそっと言う。
「でも、終わるのはプロジェクトだけだ」
「……うん。ふたりの関係は、むしろこれからだね」
──この関係は、バグじゃない。
ふたりが、選んで進んできた“仕様”だった。