彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない
一年前の真実
翌日。
私はタクシーで注意深く出社した。さすがに怖かったからだ。
そして、すぐに広報へ行くと、昨夜寮の前で不審者が待ち伏せしていて、危ない目に会ったことを報告した。
予備校側は驚き、事態をようやく重くみたのか、その日のうちにSNSで私に関する全ての投稿を全面削除した。
そして、つきまといなどについてHPに警告を発した。予備校はタクシーでしばらく通うように私に指示した。交通費も出すと言ってくれた。
佐田君をランチに誘った。夕べの不審者のことと、彼が現れたことを話した。
「どうして昨日のうちに連絡しないんだよ。わかっていたら、今朝直接寮へ迎えに行ったよ」
「ううん。しばらくはタクシーで通うよう予備校から指示が出たわ。交通費も負担してくれるの」
「仕事が休みのときや、普段の生活も気をつけないと危ないぞ。出かけるときは俺に言えよ。つきあうからさ」
「ありがとう。でも大丈夫」
「何が大丈夫だ。強がりはよせ」
私は思い切って告げた。
「実は、昨日助けてくれたのは、別れた彼だったの」
「……え?!」
「やっぱり、SNSで気づいたみたい。公開授業を受けなければよかった」
「そうか、現れたのか……やっぱりな」
「え?」
「蔵原とつきあってるのかって何人かから聞かれたんだ。今まで確認されたことなかったからおかしいと思っていた。SNSの影響かと思っていたんだが、そうじゃなかったのかもしれないな」
「この間、ビジネス街でランチをして帰るところを彼に見られたみたいなの」
「なるほどね。俺との関係を確認された?」
「……」
「蔵原、もう逃げるのはやめろよ」
私はタクシーで注意深く出社した。さすがに怖かったからだ。
そして、すぐに広報へ行くと、昨夜寮の前で不審者が待ち伏せしていて、危ない目に会ったことを報告した。
予備校側は驚き、事態をようやく重くみたのか、その日のうちにSNSで私に関する全ての投稿を全面削除した。
そして、つきまといなどについてHPに警告を発した。予備校はタクシーでしばらく通うように私に指示した。交通費も出すと言ってくれた。
佐田君をランチに誘った。夕べの不審者のことと、彼が現れたことを話した。
「どうして昨日のうちに連絡しないんだよ。わかっていたら、今朝直接寮へ迎えに行ったよ」
「ううん。しばらくはタクシーで通うよう予備校から指示が出たわ。交通費も負担してくれるの」
「仕事が休みのときや、普段の生活も気をつけないと危ないぞ。出かけるときは俺に言えよ。つきあうからさ」
「ありがとう。でも大丈夫」
「何が大丈夫だ。強がりはよせ」
私は思い切って告げた。
「実は、昨日助けてくれたのは、別れた彼だったの」
「……え?!」
「やっぱり、SNSで気づいたみたい。公開授業を受けなければよかった」
「そうか、現れたのか……やっぱりな」
「え?」
「蔵原とつきあってるのかって何人かから聞かれたんだ。今まで確認されたことなかったからおかしいと思っていた。SNSの影響かと思っていたんだが、そうじゃなかったのかもしれないな」
「この間、ビジネス街でランチをして帰るところを彼に見られたみたいなの」
「なるほどね。俺との関係を確認された?」
「……」
「蔵原、もう逃げるのはやめろよ」