彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない

二度あることは三度ある

 翌日のイギリスも昨日と同じくらいからっとしたいい天気だった。イギリスでは珍しい。

 結婚パーティーの会場は古いお城を改装したレストラン。とても素敵だった。

 周りも広々としていて、お城も日本の結婚式場のように周りの景観と違うということはない。何しろ本物なのだ。

 主役に会う前から興奮して写真を撮りまくった。このお城は上の階に宿泊もできるようになっているらしい。

 私の名前を見た受付の人はすぐに留美ちゃんの控室に私を案内してくれた。

「琴乃ちゃん、久しぶり」

「留美ちゃん、お招きありがとう。本当に会うのは久しぶりだね。結婚おめでとう。とっても綺麗だよ」

 久しぶりに会った彼女と手を握り合う。ずっとメールのやり取りばかりだった。

 彼女の着ている白いレースのウエディングドレスは身体の線を見せるタイプでとてもセクシー。彼女に似合うし、美しかった。

「ありがとう。琴乃ちゃんもそのドレスとても似合う。淡い色合いが琴乃ちゃんらしいね」

 すると、留美ちゃんのご両親が入ってきた。

「ご無沙汰しています。今日はおめでとうございます。母と共にご招待ありがとうございました。伺うのが私ひとりになってしまいすみません」

「おお、琴乃ちゃん。いや、久しぶりだ。よく来たね」

「琴乃ちゃん会えて嬉しいわ。遠くまでありがとう。あなたもすっかり大人になって……。それでお母さんの体調は大丈夫なの?」

「はい。無理しなければ大丈夫なんです」

「いやいや、お父さんが亡くなってお母さんが心を病んだと聞いて本当に驚いたんだ。もっと早く何かしてあげられたらよかった」

 留美ちゃんのご両親は葬儀の時に日本へ来てくれて、色々と助けてくれた。

 その後、お母さんが病気になり私達は自分達の生活で精いっぱいだった。

 お母さんもあまり人に知られたくないと言っていたので何か聞かれても元気だと言ってしまっていた。

 今回結婚式の招待で初めて現状を話した。

「いいえ、こちらこそお伝えせず、すみませんでした」
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