彼女はエリート外交官の求愛から逃れられない

恋の嵐2

 携帯の音で目が覚めた。周囲はまだ薄暗い。

 彼が私のカバンをとって渡してくれた。まだ五時半。見るとお母さんだ。

 あっちは何時なんだろう。何回も着信がある。冷や汗がでた。気づかなかったから、心配して何度も連絡してきたんだろう。

「琴乃?ああ、琴乃、無事なの?」

「大丈夫よ、お母さん。ごめん、心配かけたね。疲れて眠ってしまったの」

「もう、心配したのよ、何かあったんじゃないかと思って、お母さん、うう……」

 電話口で興奮して泣いている。私は謝った。

「ごめんね、お母さん。何もないから安心して。一日歩き疲れて、戻ってきたらベッドでしらないうちに寝てしまっただけよ。今日の便に乗るから安心して」

「ええ、わかったわ。日本に着いたら連絡してね」

「うん。わかったからじゃあ、切るね」

 私は携帯のメールに弟からも連絡があったことに気づいた。何かあったのかとか、お母さんが何度も心配して連絡してきてる、大丈夫だって言ったんだけど信じないとか書いてあった。

 急いで弟にもメールをした。迷惑をかけたことを謝り、お母さんに連絡したと書いた。

「……はあ……」

「……終わった?」

「ええ……」

「すごく刺激的な光景なんだけど……」

 私は自分が裸でベッドに座っていることに気づいた。

「きゃあ!」

 彼は私を抱き寄せた。

「身体は大丈夫?」

「あ、はい……大丈夫だと思います……」
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