白いパンプスのシンデレラ

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それから、橋本さんは俺の専属の家政婦になった。

前は風呂に入ろうとして、
栓を抜いたまま忘れていて、
湯舟に浸かろうとしたらお湯がなかったとかあったが、
今はそんな事はない。

彼女がいてくれる安心感。

最近、少しづつだが、笑顔も見せてくれるようになった。

明日、クレーム対応だと愚痴をこぼしていると、
その日の晩はご褒美だとステーキ丼にしてくれた、
そんな心使いが凄く嬉しい。

休日、彼女がいないと、
どことなく寂しく感じてしまう。

どんどん彼女に惹かれている自分を感じる。

しかし!断じて彼女が好きな訳ではない!

彼女に迫ったら、解雇すると言っていた俺だ、
俺が彼女に迫ったら、彼女は仕事を辞めてしまうかもしれない、

あくまで、彼女にとっていい務め先である事が重要なのだ。

俺は橋本さんが好きではない、そう自分に言い聞かせた。
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