白いパンプスのシンデレラ

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日曜、橋本さんと2人で料亭に向かう。

ベージュに少し控えめのリボンが入った、
ワンピースに白いパンプス。

可愛いじゃないか・・・

元々、顔は整っていると感じていたが、
いつもの仕事をしてます!といったメイクではなく、
女性らしいうっすらとした化粧に一気に女らしさを感じる。

心臓がどきどき言う。

静まれ心臓!あくまで彼女に味を知ってもらうのが狙いだ!
断じて、俺が彼女を堪能するのが狙いではない!

そう思うが、心臓は静まりそうにない、

そんな態度はバレバレだろうけど、
あくまで家政婦としての態度を崩さない橋本さんが、
ありがたいが面白くない。

そう感じる事で、自分の気持ちを自覚する。

今までいい雇用主である事が重要だと思ってきた。

その気持ちがガラガラと音を立てて崩れる。

もうそんな立場で満足はできない!

俺を見て欲しい、

俺を好きになって欲しい!

他の男に取られたくない、ずっと自分の傍にいて欲しい。

気持ちがどんどん溢れてくる。

ああ、好きだ。

その気持ちをさらに高揚させるかのように、
橋本さんが微笑む。

これ以上、俺に好きにならせてどうするんだ?

とにかく、今日の食事は成功させないと!
俺はこぶしをぎゅっと握りしめた。
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