白いパンプスのシンデレラ

18

料亭では橋本さんは目を輝かせ料理を食べ、
大将と女将さんと楽しそうに話をしているのを見る。

やっぱりいいよな。

夫婦は価値観も大事だ、
橋本さんなら、仕事をしつつも家庭を第一に考え、
俺が子供と遊んでいるのも喜んでくれるだろう。

自然にそんな想像ができて顔が綻ぶ。

それを誤魔化すように、話題を変えた。

「どうだ、この出汁美味しいだろう?」

俺の言葉に橋本さんが答える。

「これは、醤油に特徴があるんです、
 一般に売っている醤油ではないですね」

その言葉を聞いて、

「ほう、そんな事までわかるのか、流石だね」

と大将が答え、上機嫌だ。

「醤油の種類教えてくれ」

俺が言うと、大将はわざとらしく困った顔をする、
本心から困ってない事は、口元がほころんでいる事で知れた。

「企業ならぬ料亭機密なんだが」

「兄にも宣伝しておく」

「しょうがないねぇ」

そう言って大将が、醤油の入った瓶を見せてくれた。

「やっぱ橋本さんを連れてきて正解だったな」

嬉しそうに話す俺に、彼女も幸せそうで、
こんな日がずっと続けばと思っていた。
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