白いパンプスのシンデレラ

19

鷹村さんとの食事を終えた。

重要ミッションだった、鷹村さんの好きな味に、
少し近づけたのだ!
すぐに醤油を取り寄せないと・・・

ほとんどの料理をあの醤油でしてしまってもいいな、
そんな事を考え、充実してふわふわした気分で帰宅する。

叔母の家に帰ると、玄関に椛がいた。

「ただいま、椛?」

表情が硬い事を不思議に思いながら、挨拶をする。

「私、高校辞める!」

「え?」

「もう決めたの!」

そう言って部屋に戻り、布団の中に潜り込んでしまった。

これは椛の子供の頃からのクセだ、
不満があって、自分でも対処しきれない場合、
布団に潜り込んでしまう。

今まで楽しかった気持ちが一気に下降し、
寒くすら感じる。

私、何か失敗した?

考えても何も思いつかない。

とりあえず、落ち着いて話してくれるのを待とう、
それしかできない自分に落ち込みながらも、

「今度チーズケーキ作るからね」

こんもりと盛り上がった布団をぽんぽんと叩きながら、
それだけを伝えた。
< 19 / 22 >

この作品をシェア

pagetop