白いパンプスのシンデレラ

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見た目も立派なマンションだと思ったが、
部屋に入ってその感覚は大きくなった。

お金持ちの部屋は広くて、キッチンも広い。

今までも家政婦を雇ってきている事もあって、
かなり調理器具、調味料は充実していた。

これなら、リクエストに応えるのも、
けっこういけるかも・・・

内心ほっとする。

まずは雇用主との挨拶だ。

「橋本楓です、よろしくお願いします」

「大丈夫なのか?」

相手から返ってきたのは、少し不機嫌そうな声。

鷹村祐介(たかむら ゆうすけ)
つい最近29歳になったばかりのはず。

「お話は聞いています、私は大丈夫です」

今まで派遣された家政婦4人に迫られ、
かなりうんざりしているのだろう。

ちなみに迫った女性の最年長は56歳だったらしい。
恐ろしい・・・

整った顔、高い身長で体格もスラリとしている。
どんな会社で働いていて、
どんな仕事をしているのかも知らないが、
このマンションに住めて、私の勤める会社に家政婦を
頼めるのだ、かなりお金持ちと思っていいだろう。

確かに、世の女性に狙われてしまっても仕方ない。

ちょっと同情するけど・・・

私の場合、ああかっこいいなとは思ったが、
TVのアイドルを見て可愛いなと思うのと大差がない、
心臓はどきどきしないし、恋愛の欠片もない。

それより、料理でどんなリクエストをされるのか
その方がどきどきする。
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