白いパンプスのシンデレラ

20

次の日の月曜、昨日料亭に行って浮かれていた俺は、
橋本さんが元気がない事にすぐに気づいた。

「どうした?」

「何でもありません、もう夕飯できてます」

「夕飯はいい、何があったか話してくれ」

「私事ですから」

「いいから、言わないと夕飯食べない!」

我ながらダダをこね、何とか彼女から話を聞き出す。

「妹が・・・高校を辞めるって」

確か妹さんは高校3年のはず。

絵の才能があり、こっそりデザインの専門学校の、
パンフレットを取り寄せている所を橋本さんが見つけ、
この仕事のおかげで専門学校にも行かせてあげられそうだと、
嬉しそうに語っていた事を思い出す。

「いったんお互い落ち着いた方がいいだろう、
 とにかく座って」

そう言って彼女をソファに座らせて、席を立つ。

「すぐ戻るから」

そう言って車を走らせ、俺の家がよく利用している
洋菓子店へ向かう。

「普通のショートケーキと、洋ナシのタルトと、
 チーズケーキをくれ」

橋本さんが何が好きか分からないので適当に選んで買う。

あわててマンションに帰りケーキを並べる。

「とにかく、落ち込んだ時は甘い物だ!」

そう言い切って、ケーキを並べる俺に、
ちょっとだけ橋本さんは笑ってくれた。
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