白いパンプスのシンデレラ

5

家政婦として、料理を作りに来るようになってから、
2週間が経った。

最初は難癖つけられないかと心配したが、
リクエストがないというのは本心だったらしく、
作った物をなんでも美味しいと言って食べてくれる。

少しつづ話もするようになって、

「あそこの料亭の料理は見た目は綺麗だが、
 繊細すぎて、味があんまり好きでなかった」とか

「田楽が結構好き」とか、

少しづつ、自覚するという程でもない好みを聞いて、
料理に生かすようにしている。

だんだん分かって来たのは、
基本的には和・洋・中なんでもいけて、
エスニック系はあまり好きではない。

味付けはしっかりしているのが好き。

こだわるより、いろんな料理を食べたいタイプという事だ。

そんな風に料理を作っていると、いきなり声をかけられた。

「契約の件だけど」

「はい、何か問題でも?」

「契約は辞めようと思う」

私は驚いて目を見開く。

心臓がどきどき言う。

今まで美味しいと言って食べてくれていたはずだ、
文句を言われた事はなかったのに・・・

心がズンと重くなり、自分の評価が下がる以上に、
ショックを受けている事に気づく。

「そうですか・・・申し訳ありません」

深々を頭を下げて謝った。
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