白いパンプスのシンデレラ

7

契約をして、2か月が経ったある日、
キッチンからフライパンが落ちる音がした。

「どうした!?」

あわててキッチンへ向かう。

そこには座り込み、ぐったりしている橋本さんの姿が。

「大丈夫か!?」

青い顔をして、小さな声で、

「大丈夫です」

と言われる。

どう考えても大丈夫じゃないとは思うが、

「後、1品だけなので・・・すみません」

それ以上は何も語る気はないようだった。

よろよろ立ち上がる彼女をキッチンに残し病院に電話する。

料理をだいぶ食べた頃、インターホンが鳴った、医者だろう。

俺は医者を迎え入れ、橋本さんを診て欲しいと告げる。

「え?そんな事して頂く事はできません」

「もう医者を呼んだ、費用はこちらで持つ」

戸惑う彼女を無理やり医者に診せる。

彼女が戸惑うのは当然だ、本当はここまでする必要はない、
ただ、彼女に何かあれば・・・と心配で、
こうしなければ気が済まなかった。
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