月夜の呪われ王子と追放王妃~力のない聖女などいらないと厄介払いしたのをお忘れですか? 辺境の地で幸せを掴みましたので、今さら謝られても戻りません
過去の代償
その夜、エリオットを歓迎する晩餐を開いたあと、エミリアはひとりで城の小窓から外を見下ろしていた。
昼間は澄み渡っていた空が、いまは鈍い灰色に沈んでいる。遠くの山並みの向こうにある王都の方角に、黒い雲がゆっくりと広がっていた。
息を吸うと、冷えた空気に微かに鉄の匂いが混じっている。
風が、違う。
いつもの夜風よりも重く、まるでどこか遠くで大地そのものが呻いているようだった。
(なにかしら……。なんだかよくないことが起こりそう……)
胸の奥がぞわわと波立つ。
なにが、という確証はない。それでも理屈では言えない感覚があった。
祈るように両手を組み、窓辺に膝をついたエミリアのそばにシルバが寄り添う。しかし口に出した祈りはすぐに途切れた。言葉を紡ごうとしても、喉の奥に引っかかる。
頬を冷たい風が撫でた。遠くで雷鳴のようなものが微かに響く。
その音に、エミリアは思わずシルバを抱きしめた。
昼間は澄み渡っていた空が、いまは鈍い灰色に沈んでいる。遠くの山並みの向こうにある王都の方角に、黒い雲がゆっくりと広がっていた。
息を吸うと、冷えた空気に微かに鉄の匂いが混じっている。
風が、違う。
いつもの夜風よりも重く、まるでどこか遠くで大地そのものが呻いているようだった。
(なにかしら……。なんだかよくないことが起こりそう……)
胸の奥がぞわわと波立つ。
なにが、という確証はない。それでも理屈では言えない感覚があった。
祈るように両手を組み、窓辺に膝をついたエミリアのそばにシルバが寄り添う。しかし口に出した祈りはすぐに途切れた。言葉を紡ごうとしても、喉の奥に引っかかる。
頬を冷たい風が撫でた。遠くで雷鳴のようなものが微かに響く。
その音に、エミリアは思わずシルバを抱きしめた。