悪魔の娘が帰還するまでーささやかな復讐と聖女の称号を添えてー

エピローグ:魔界の日常

 祝宴もひと段落し、参加者の女性悪魔たちが可愛い可愛いと言って子供たちを抱っこし、絵本を読み、男性悪魔がヤンチャな男子とお尻をフリフリする妙なダンスをしている。
悪魔を補佐する仕事がしたいと言う年長の子供と、そのためにアドバイスをする悪魔がいる。

「痛てて……重くなったな」
 二歳の子供を背にお馬さんをしていたのは、オリヴィアが何度か見かけたことのある悪魔だった。ノクティレアと同じ誘惑の悪魔らしいが、まともに話したことはない。

 くしゃくしゃの黒髪で、前髪は長い。ゆったりしたシャツとパンツで、子供を乗せる前からやや疲れて見えた。
「お前最近過労気味だったんだから、あんまり無理するなよ」
他の悪魔からも気遣われていた。

「いや、本当疲れてるからさ…だからこういうのから癒しのエネルギーもらわないと……捕獲っ!」
「っきゃー!」

頭を二歳のまん丸なお腹に擦り付けたり、おかしな顔をして笑わせたりしていると、くしゃくしゃの髪が更にくしゃくしゃになって、前髪の下に金色の瞳が見えた。

 オリヴィアは思わず目を見張った。
「……え?」
「ん? どうした、オリヴィア」
悪魔は前髪をかき上げ、暢気な声で尋ねる。

「え、えええぇえええええ‼︎」
「俺はオンとオフをきっちり分ける派でね」
そう言って金色の瞳に光を宿らせウインクをする。

 誘惑の悪魔――フィンレイ。
 以前の艶やかさは微塵もない。今や他の子供にも群がられて、埋もれるようにしながら、無邪気に子供と遊ぶ姿の落差に、オリヴィアは言葉を失う。

 それから、フィンレイが屋敷を訪れる回数は少しずつ増えていった。
 何が彼をそうしたのかフィンレイは以前より子どもを大事にしているようだった。

 そして時折ふとした瞬間に彼の金の瞳が真剣にオリヴィアを見守って、ノクティレアと同じ優しい色を帯びている。だがオリヴィアは知らない。

 オリヴィアは今までの時間を取り戻すように、子供たちと遊ぶのに忙しいからだ。
 悪夢はもう見ない。
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才女と呼ばれながら、婚約者の駒として働かされていた侯爵令嬢アリシアの人生が、ある朝から一変する。 婚約者は毎晩パーティーで散財し、女遊びに明け暮れる。 徹夜明けの朝、疲労困憊でオリバーの部屋に報告書を届けたアリシアは、そこで彼のベッドに浮気相手が寝ているのを見つける。 もうどうでもいい。そのまま隣でよく眠ったアリシアは、浮気相手ミアと意気投合。 二人で仲良くオリバーに復讐することにする。

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