追放された搾りカス聖女は、第二の人生を謳歌する。なのに、激重騎士隊長が放してくれません! なんであんたぁ、ここにいるんだべ!?
3
その後、ロヴァルト様は片付けも手伝ってくれて、気付けば太陽が空の真上まで昇っていた。
そろそろ昼食の時間だ。朝食はいつもじぃちゃんが作ってくれているが、昼と夜は私が作る。まぁ、簡単なものしか作れないけど。
軽く昼食を用意した私は、二人に声をかけた。
「じぃちゃん、ロヴァルト様お疲れ様。そろそろ昼食にしませんか?」
「……いや、私は……」
ロヴァルト様は手のひらを前に出し、断るような仕草をする。
「え? そうですか? ロヴァルト様の分も作っちゃったんですが……」
「……!? ま、まさかブラウン殿が!?」
ロヴァルト様が唇を噛み、顔を歪める。
もしかして、料理人でもない者が作った得体の知れないものは、食べられないのかもしれない。
「申し訳ございません。今のは忘れて……」
「……いただこう」
「はい?」
聞き返すと、
「……いただこう」
もう一度、繰り返した。
……大丈夫、だったらしい。
「……おかわり、いります?」
鶏肉とトマトのスープを秒で完食したロヴァルト様に、声をかける。
「……いただこう」
そう言って木皿を私に差し出す。
(……さっきから、同じことしか言わんなぁ)
おかわりのスープをよそって、ロヴァルト様にお皿を渡すと、また物凄いスピードでスープが減っていく。
しかし、身のこなしはとても上品だった。
(ほぇ、優雅じゃ。田舎者とは違うべな……)
感心しながら、ロヴァルト様の食事の様子を観察してると、彼の眉間に皺が寄り始める。
「……ブ、ラウン殿……」
(ちょっと、凝視しすぎたべ!?)
「あわっ、すみません!」
「……、おかわりをくれないか……?」
「へ?」
(まだ食うべぇ!?)
私は呆気に取られつつ、おかわりを取りに行ったのだった。
私はずっと気になっていたことがあった。
ロヴァルト様は私のことを、“ブラウン殿”と呼んでいるが、じぃちゃんもブラウンだ。それどころか、このクレイ村の村民のほとんどがブラウンだった。
彼が“ブラウン殿”と呼ぶたび、村民の何十人が振り向くことになる。それではややこしい。
私はロヴァルト様の前にお皿を置きつつ、お願いを口にする。
「あの、ロヴァルト様。もし嫌でなければ、私のことをコレットと呼んでください」
「――っ!?」
ロヴァルト様は大きく息を吸い込んだと思ったら、ピタリと動きを止めた。
突然手が震えだし、スプーンに掬ったスープが零れ落ちる。
「えっ? 何だべ!? また、食べ過ぎべ!?」
――ガルド's poem――
あぁ なんてことだ
あぁ こんなことが俺の身に起こっていいというのか
慈悲深き天使よ 貴女のお作りになった至高のスープを賜るなど
慈悲深き天使よ 貴女のその麗しき御名を呼ぶことを許されるなど
あぁ なんてことだ
あぁ こんなことが俺の身に起こっていいというのか
あぁ……このまま 天に召されても悔いはない……
――――――――
しばらく天井を仰いでいたロヴァルト様は、コホンと一つ咳払いをして姿勢を正す。
「それでは、……こ、コココココレット殿と、呼ばせてもらおう」
(コココココレット……? 騎士隊長様がココココって……)
私は驚いてまばたきを繰り返したあと、吹き出した。
「ぶっ、なんだぁ、それ? 鶏みたいだべっ! ふふふっ」
笑いながらロヴァルト様を見ると、彼は眉間に皺を寄せ、トマトみたいに真っ赤になっている。
(ふふっ、……なんか、かわいーべ)
私はしばらく、笑いが止まらなかった。
そろそろ昼食の時間だ。朝食はいつもじぃちゃんが作ってくれているが、昼と夜は私が作る。まぁ、簡単なものしか作れないけど。
軽く昼食を用意した私は、二人に声をかけた。
「じぃちゃん、ロヴァルト様お疲れ様。そろそろ昼食にしませんか?」
「……いや、私は……」
ロヴァルト様は手のひらを前に出し、断るような仕草をする。
「え? そうですか? ロヴァルト様の分も作っちゃったんですが……」
「……!? ま、まさかブラウン殿が!?」
ロヴァルト様が唇を噛み、顔を歪める。
もしかして、料理人でもない者が作った得体の知れないものは、食べられないのかもしれない。
「申し訳ございません。今のは忘れて……」
「……いただこう」
「はい?」
聞き返すと、
「……いただこう」
もう一度、繰り返した。
……大丈夫、だったらしい。
「……おかわり、いります?」
鶏肉とトマトのスープを秒で完食したロヴァルト様に、声をかける。
「……いただこう」
そう言って木皿を私に差し出す。
(……さっきから、同じことしか言わんなぁ)
おかわりのスープをよそって、ロヴァルト様にお皿を渡すと、また物凄いスピードでスープが減っていく。
しかし、身のこなしはとても上品だった。
(ほぇ、優雅じゃ。田舎者とは違うべな……)
感心しながら、ロヴァルト様の食事の様子を観察してると、彼の眉間に皺が寄り始める。
「……ブ、ラウン殿……」
(ちょっと、凝視しすぎたべ!?)
「あわっ、すみません!」
「……、おかわりをくれないか……?」
「へ?」
(まだ食うべぇ!?)
私は呆気に取られつつ、おかわりを取りに行ったのだった。
私はずっと気になっていたことがあった。
ロヴァルト様は私のことを、“ブラウン殿”と呼んでいるが、じぃちゃんもブラウンだ。それどころか、このクレイ村の村民のほとんどがブラウンだった。
彼が“ブラウン殿”と呼ぶたび、村民の何十人が振り向くことになる。それではややこしい。
私はロヴァルト様の前にお皿を置きつつ、お願いを口にする。
「あの、ロヴァルト様。もし嫌でなければ、私のことをコレットと呼んでください」
「――っ!?」
ロヴァルト様は大きく息を吸い込んだと思ったら、ピタリと動きを止めた。
突然手が震えだし、スプーンに掬ったスープが零れ落ちる。
「えっ? 何だべ!? また、食べ過ぎべ!?」
――ガルド's poem――
あぁ なんてことだ
あぁ こんなことが俺の身に起こっていいというのか
慈悲深き天使よ 貴女のお作りになった至高のスープを賜るなど
慈悲深き天使よ 貴女のその麗しき御名を呼ぶことを許されるなど
あぁ なんてことだ
あぁ こんなことが俺の身に起こっていいというのか
あぁ……このまま 天に召されても悔いはない……
――――――――
しばらく天井を仰いでいたロヴァルト様は、コホンと一つ咳払いをして姿勢を正す。
「それでは、……こ、コココココレット殿と、呼ばせてもらおう」
(コココココレット……? 騎士隊長様がココココって……)
私は驚いてまばたきを繰り返したあと、吹き出した。
「ぶっ、なんだぁ、それ? 鶏みたいだべっ! ふふふっ」
笑いながらロヴァルト様を見ると、彼は眉間に皺を寄せ、トマトみたいに真っ赤になっている。
(ふふっ、……なんか、かわいーべ)
私はしばらく、笑いが止まらなかった。