追放された搾りカス聖女は、第二の人生を謳歌する。なのに、激重騎士隊長が放してくれません! なんであんたぁ、ここにいるんだべ!?
5
突然、神官長は勢いよく座り込み、地面に額をすりつけるよう頭を下げた。
「ど、どうか、戻ってきてくれー! この通りだ! 神殿存続の危機なんだ!」
(はっ!? ど、土下座!? 最終手段って土下座べ!?)
「ちょ、ちょ、ちょっと神官長様! 困ります! 頭を上げてください! いくら言われましても、私は神殿には戻りません! お帰りくださいっ」
そう強く断りドアを閉めようとするも、すかさず騎士が扉の間に足を挟み込む。
(……っ、まずいべっ)
必死に扉を力を入れて引くが、見る見るうちにドアが開かれてしまう。
「仕方ないですねぇ。では、力ずくでも連れて帰りますよ。――捕まえなさい」
立ち上がった神官長が冷ややかに笑みを浮かべて命令すると、騎士が開いたドアの間からこちらに向かって手を出した。
(つ、捕まるべ!?)
私はとっさに騎士の横をすり抜け、外に飛び出す。
「――っ!? コレット、待ちなさい!」
後ろから神官長の声が聞こえるが、私は後ろを振り返らずトマト畑の間を突き抜ける。
(だ、誰かっ、誰か……っ、助けてっ)
全力で走るが、段々と後ろから足音が近づいてくる。
焦りで足がもつれて石につまずき、その場に転んでしまった。
「きゃっ、……痛っ」
二人がとうとう私に追いつき、じりじりと目の前に迫る。
「コレット、おとなしく言うことを聞きなさい」
神官長の鋭い視線がこちらを射抜く。
「……っ」
(い、嫌だっ。神殿になんて戻りたくないべ……っ。助けて、ロヴァルト様……っ!)
もうダメかと諦めかけて、私がぎゅっと目をつぶった、その時――。
「――貴様ら、そこで何をしている」
まるで地響きのような低い声が、トマト畑に轟く。
この声に目を開き振り向くと、ロヴァルト様が鋭い眼光を二人に向けていた。
(ロヴァルト様――!)
「……!? あ、あなたはロヴァルト騎士隊長殿ではありませんか!? なぜにこのような場所に?」
神官長が驚きで目を見開く。
「隊長!? こちらにいらっしゃったんですか!? 黙って行方知れずになるなんて、心配しましたよ!」
神官長の護衛騎士も、ロヴァルト様の登場に驚きを隠せないでいる。
「ん? 書き置きは残しておいたはずだが?」
「書き置きって、“しばし外出する”ってやつですね? そんなその辺に買い物に出掛けるような感じで、何週間もいなくなるなんて思わないじゃないですか!」
(えぇぇ!? それだけで、ここにいたんだべ!?)
その会話を聞いて、私は開いた口がふさがらない。
「ふむ。……そうか」
ロヴァルト様は顎に手を当て、考え込んでいる。
「とにかく、隊長はお戻りください! ささっ、コレット殿も行きますよ!」
騎士が座り込んでる私に一歩近づいた時、騎士の前にロヴァルト様が立ちはだかる。
「そうはさせん」
「た、隊長!?」
「何をおっしゃるのです、ロヴァルト騎士隊長殿。彼女は神殿に必要なのですよ!」
「……可憐な清き天使を、陰謀渦巻く穢れた神殿になどに渡さん」
そう低い声で呟き、ロヴァルト様はゆっくりと剣を抜いた。
「泣き言も言わず、その細腕で、世のため人のために働き、ボロボロになっていく……。その後ろ姿を、俺はただ見守るしかできなかった。なんと不甲斐ないことか。俺が代われるなら、代わってあげたかった。……しかし、俺はもう、指を咥えて眺めていた過去の自分ではない。大切な者を守るために、この剣を抜く……っ」
(ロヴァルト様……!? ロヴァルト様も、こんなに長く話せんだべ!? ……何言ってるか分かんねぇけど)
「はぁ……。ええと……?」
「隊長、マジかよ……。しかも、全然気付かれてないし、不憫だな……」
二人は引きつった顔をした後、まるで同情するような視線をこちらに向ける。
私は何が起きたのか分からず、首を傾げた。
しかし、こんな田舎で騒ぎを起こすのはまずい。ご近所さんで噂になってしまう。
その時、ハッとあるアイディアが閃く。
「ど、どうか、戻ってきてくれー! この通りだ! 神殿存続の危機なんだ!」
(はっ!? ど、土下座!? 最終手段って土下座べ!?)
「ちょ、ちょ、ちょっと神官長様! 困ります! 頭を上げてください! いくら言われましても、私は神殿には戻りません! お帰りくださいっ」
そう強く断りドアを閉めようとするも、すかさず騎士が扉の間に足を挟み込む。
(……っ、まずいべっ)
必死に扉を力を入れて引くが、見る見るうちにドアが開かれてしまう。
「仕方ないですねぇ。では、力ずくでも連れて帰りますよ。――捕まえなさい」
立ち上がった神官長が冷ややかに笑みを浮かべて命令すると、騎士が開いたドアの間からこちらに向かって手を出した。
(つ、捕まるべ!?)
私はとっさに騎士の横をすり抜け、外に飛び出す。
「――っ!? コレット、待ちなさい!」
後ろから神官長の声が聞こえるが、私は後ろを振り返らずトマト畑の間を突き抜ける。
(だ、誰かっ、誰か……っ、助けてっ)
全力で走るが、段々と後ろから足音が近づいてくる。
焦りで足がもつれて石につまずき、その場に転んでしまった。
「きゃっ、……痛っ」
二人がとうとう私に追いつき、じりじりと目の前に迫る。
「コレット、おとなしく言うことを聞きなさい」
神官長の鋭い視線がこちらを射抜く。
「……っ」
(い、嫌だっ。神殿になんて戻りたくないべ……っ。助けて、ロヴァルト様……っ!)
もうダメかと諦めかけて、私がぎゅっと目をつぶった、その時――。
「――貴様ら、そこで何をしている」
まるで地響きのような低い声が、トマト畑に轟く。
この声に目を開き振り向くと、ロヴァルト様が鋭い眼光を二人に向けていた。
(ロヴァルト様――!)
「……!? あ、あなたはロヴァルト騎士隊長殿ではありませんか!? なぜにこのような場所に?」
神官長が驚きで目を見開く。
「隊長!? こちらにいらっしゃったんですか!? 黙って行方知れずになるなんて、心配しましたよ!」
神官長の護衛騎士も、ロヴァルト様の登場に驚きを隠せないでいる。
「ん? 書き置きは残しておいたはずだが?」
「書き置きって、“しばし外出する”ってやつですね? そんなその辺に買い物に出掛けるような感じで、何週間もいなくなるなんて思わないじゃないですか!」
(えぇぇ!? それだけで、ここにいたんだべ!?)
その会話を聞いて、私は開いた口がふさがらない。
「ふむ。……そうか」
ロヴァルト様は顎に手を当て、考え込んでいる。
「とにかく、隊長はお戻りください! ささっ、コレット殿も行きますよ!」
騎士が座り込んでる私に一歩近づいた時、騎士の前にロヴァルト様が立ちはだかる。
「そうはさせん」
「た、隊長!?」
「何をおっしゃるのです、ロヴァルト騎士隊長殿。彼女は神殿に必要なのですよ!」
「……可憐な清き天使を、陰謀渦巻く穢れた神殿になどに渡さん」
そう低い声で呟き、ロヴァルト様はゆっくりと剣を抜いた。
「泣き言も言わず、その細腕で、世のため人のために働き、ボロボロになっていく……。その後ろ姿を、俺はただ見守るしかできなかった。なんと不甲斐ないことか。俺が代われるなら、代わってあげたかった。……しかし、俺はもう、指を咥えて眺めていた過去の自分ではない。大切な者を守るために、この剣を抜く……っ」
(ロヴァルト様……!? ロヴァルト様も、こんなに長く話せんだべ!? ……何言ってるか分かんねぇけど)
「はぁ……。ええと……?」
「隊長、マジかよ……。しかも、全然気付かれてないし、不憫だな……」
二人は引きつった顔をした後、まるで同情するような視線をこちらに向ける。
私は何が起きたのか分からず、首を傾げた。
しかし、こんな田舎で騒ぎを起こすのはまずい。ご近所さんで噂になってしまう。
その時、ハッとあるアイディアが閃く。