ニンゲン釣りゲーム
生けにえ
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友太は、行き止まりの壁の下で、あぐらをかいて座っていた。

楓たちが探索した壁側とは反対側に来てみたが、こちらはなにもなく殺風景だ。
ひとりぼっちは、恐ろしくて心細かったが、あんなひどい奴らがいるところには、戻るつもりは毛頭ない。

先ほど、たくさんの悲鳴が聞こえ、頭上から矢のように、なにかが降り注いでいくのが、ここから見えたが、友太の知ったことではない。

飼い犬に手を噛まれるとは、まさに自分のことだろう。

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