ニンゲン釣りゲーム
死の下克上
康晴をさがすため、楓は走っていたが、酸欠と暑さで意識がもうろうとしてきた。

「脇田くん、どこに行ったのかな……」

楓は、ぜえぜえと呼吸をした。
大和が滝のように流れ落ちる汗をぬぐいながら、もつれる足で走ろうとしている。

やがて、行き止まりの壁が見えてきた。
――その下にあるあの腐った水飲み場の入れ物から、2本の足がだらりと伸びていた。
上半身は、腐った水の中につっこんでいる。

「ウソッ――」と楓は絶句する。

「まさか、脇田――」

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