Switch
第十四章
四ツ辻まで登ったところで、貫七は岩に腰掛けて水を飲んだ。
「ふぃ~っ。ここまででも、結構な山登りだな」
ぐい、と額に浮いた汗を拭う。
そして持っていた荷物の中から、小さな竹の器を取り出し、そこに水を入れた。
「ほれ。飲みな」
竹の器を足元に置くと、肩に乗っていたおりんが、ぱっと飛び降りて水に口をつけた。
『ここから、もっと上がったところなんだろ?』
「ああ。右側に逸れて、ずっと上がって行くみたいだな」
宿の女将が持たせてくれた握り飯を頬張りながら、山を見上げる。
結構鬱蒼と木々が茂っていて、見通しは良くない。
「さて。どういう奴なんだかな」
呟く貫七の膝に飛び乗ったおりんは、三つある握り飯のうち、小さめの一つにかぶりつく。
『うん、美味い。いっつもいっつも猫まんまじゃ、おいらだって飽きちゃうからね』
久しぶりに食べる普通の飯に、おりんが満足そうに言う。
貫七はそんなおりんの小さな頭を、わし、と掴むように手を置いた。
「もうちょっとだぜ。そうだ、戻ったら、まずは美味いもん食べに行こう」
『うん』
ほのぼのと握り飯を頬張り、一人と一匹は早くも戻ったときのことを、あれこれと夢想した。
「ふぃ~っ。ここまででも、結構な山登りだな」
ぐい、と額に浮いた汗を拭う。
そして持っていた荷物の中から、小さな竹の器を取り出し、そこに水を入れた。
「ほれ。飲みな」
竹の器を足元に置くと、肩に乗っていたおりんが、ぱっと飛び降りて水に口をつけた。
『ここから、もっと上がったところなんだろ?』
「ああ。右側に逸れて、ずっと上がって行くみたいだな」
宿の女将が持たせてくれた握り飯を頬張りながら、山を見上げる。
結構鬱蒼と木々が茂っていて、見通しは良くない。
「さて。どういう奴なんだかな」
呟く貫七の膝に飛び乗ったおりんは、三つある握り飯のうち、小さめの一つにかぶりつく。
『うん、美味い。いっつもいっつも猫まんまじゃ、おいらだって飽きちゃうからね』
久しぶりに食べる普通の飯に、おりんが満足そうに言う。
貫七はそんなおりんの小さな頭を、わし、と掴むように手を置いた。
「もうちょっとだぜ。そうだ、戻ったら、まずは美味いもん食べに行こう」
『うん』
ほのぼのと握り飯を頬張り、一人と一匹は早くも戻ったときのことを、あれこれと夢想した。