砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
カイン十二歳 アベル十五歳
※
カインこと、カルヴィン・オルディンが目付け役としてやって来るようになって一週間が過ぎた。
「キャァ、アルベルト王子殿下!そちらはどれも由緒あるお品でございますよ!!」
「殿下!イタズラが過ぎます!」
アベルは来賓用の皿やティーセットを次々とを粉々に割った。使用人たちが悲鳴をあげて止めようとするが、アベルは彼らの制止をすり抜けてはどんどん割っていく。
カインはそんなアベルの暴挙を止めることをしなかった。
それどころか、ひとしきり楽しげに割ってその場を逃げ出したアベルに静かに進言したのだ。
「スイクロ地方の名産品を用意しましょう」
「スイクロ?なぜ」
「アベルの部屋に陶磁器について読みかけの本が何冊か。お茶の時間にいつも使用しているスイクロ製のカップを眺めながら時折何かを考えていましたね。
スイクロは国内では知らぬものはない陶磁器の産地ですが、近隣国にはあまり流通しておりません。これをフォトキナの外交の切り札としようとしてらっしゃるのでは?」
その洞察力には驚かされる。
アベルの部屋には常に物があふれているというのに、読みかけの本を覚えているとは。それにアベルが使っているカップなど、今までの目付け役たちは気にも留めていなかった。
ーーおもしろいヤツだな。
カインこと、カルヴィン・オルディンが目付け役としてやって来るようになって一週間が過ぎた。
「キャァ、アルベルト王子殿下!そちらはどれも由緒あるお品でございますよ!!」
「殿下!イタズラが過ぎます!」
アベルは来賓用の皿やティーセットを次々とを粉々に割った。使用人たちが悲鳴をあげて止めようとするが、アベルは彼らの制止をすり抜けてはどんどん割っていく。
カインはそんなアベルの暴挙を止めることをしなかった。
それどころか、ひとしきり楽しげに割ってその場を逃げ出したアベルに静かに進言したのだ。
「スイクロ地方の名産品を用意しましょう」
「スイクロ?なぜ」
「アベルの部屋に陶磁器について読みかけの本が何冊か。お茶の時間にいつも使用しているスイクロ製のカップを眺めながら時折何かを考えていましたね。
スイクロは国内では知らぬものはない陶磁器の産地ですが、近隣国にはあまり流通しておりません。これをフォトキナの外交の切り札としようとしてらっしゃるのでは?」
その洞察力には驚かされる。
アベルの部屋には常に物があふれているというのに、読みかけの本を覚えているとは。それにアベルが使っているカップなど、今までの目付け役たちは気にも留めていなかった。
ーーおもしろいヤツだな。