砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
愛しき人よ共にあれ
※
ーーここは、どこ?天国…か?
ゆっくり目を開け、視界に飛び込んできた景色は真っ白な天井だった。
長い眠りから覚めた頭はぼんやりしている。
「よかった、目が覚めたか」
カインは声がした方に首を動かす。
そこには憔悴した様子のアベルの姿があった。
ーー天国じゃないな。アベルが天国にいるはずがない。
アベルに会いたいという願望が見せる夢の中か?
部屋にはアベル以外の人の気配はない。
「アルス…は?」
「怪我一つしてない。今は俺の手紙を師レオポルトに届けに行ってる。もちろん護衛もつけているから安心してくれ」
カインはほっと安堵の息をもらした。
山賊に襲われてアベルに助けられたことを、ゆっくりと思い出す。
ーーよかった。アルスが無事ならそれでいい。
「助けていただき、ありがとう、ございました」
「いや。俺たちがもう少し早く到着していれば、こんな怪我を負わせずに済んだのに」
「私の剣術では、歯が立たなかったです」
「俺もブリュオーに行って知ったが、ルールの多いフォトキナの剣術は実戦向けではない。
野蛮だが、実戦ではどんな方法を使っても勝たなきゃ死あるのみだからな。俺もだいぶ鍛えられたよ」
アベルがカインの手をぎゅっと握っている。
頭ははっきりしないが、アベルの温もりが手から伝わってなんだか幸せな気分だ。
やはりまだ夢の中なのかもしれない。
ーーここは、どこ?天国…か?
ゆっくり目を開け、視界に飛び込んできた景色は真っ白な天井だった。
長い眠りから覚めた頭はぼんやりしている。
「よかった、目が覚めたか」
カインは声がした方に首を動かす。
そこには憔悴した様子のアベルの姿があった。
ーー天国じゃないな。アベルが天国にいるはずがない。
アベルに会いたいという願望が見せる夢の中か?
部屋にはアベル以外の人の気配はない。
「アルス…は?」
「怪我一つしてない。今は俺の手紙を師レオポルトに届けに行ってる。もちろん護衛もつけているから安心してくれ」
カインはほっと安堵の息をもらした。
山賊に襲われてアベルに助けられたことを、ゆっくりと思い出す。
ーーよかった。アルスが無事ならそれでいい。
「助けていただき、ありがとう、ございました」
「いや。俺たちがもう少し早く到着していれば、こんな怪我を負わせずに済んだのに」
「私の剣術では、歯が立たなかったです」
「俺もブリュオーに行って知ったが、ルールの多いフォトキナの剣術は実戦向けではない。
野蛮だが、実戦ではどんな方法を使っても勝たなきゃ死あるのみだからな。俺もだいぶ鍛えられたよ」
アベルがカインの手をぎゅっと握っている。
頭ははっきりしないが、アベルの温もりが手から伝わってなんだか幸せな気分だ。
やはりまだ夢の中なのかもしれない。