砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
第五章 そして少年は大人になって王妃になる
賢王との邂逅
※
黄金に輝く玉座に座るラインハルトの姿にカレンは圧倒され、緊張は最高潮に達した。
その威厳たるや、頭上の王冠がなかったとしても彼が王であることを疑う余地はない。
「遠いところをよく来てくれたね」
ラインハルトは気を使ってフォトキナ語で話しかけてくれた。
「本日はお招きありがとうございます。私はアルセウス・オルディン。こちらは母のカレン・オルディンでございます」
だがアルスは完璧なブリュオー語で返した。
アルスは緊張していない。それどころかラインハルトと話が出来る興奮が溢れるような口調だ。
「これは驚いた。アルベルトより美しい完璧な発音だ。
アルセウス殿、ブリュオーの印象はいかがかな?」
「ここへ来る途中の城下町の活気は素晴らしかったです。日々の生活が安定しているのでしょう、町中人々の笑顔であふれていました。
また城内も華美過ぎず有事にも備えた堅固な装飾。兵士も陛下をお守りするという仕事への誇りに満ちている。
フォトキナが失ったすべての理想がここにありました」
ラインハルトは笑顔で語るアルスの顔を観察するかのようにじっと見つめている。
「陛下、私の顔に、何か?」
「あ、いや。不躾にすまない。八歳と聞いていたものでね。あまりにしっかりしているから本当は子供の姿をした大人かと思ってしまったよ。
カルヴィン・オルディン氏の教育のたまもの、ですか」
黄金に輝く玉座に座るラインハルトの姿にカレンは圧倒され、緊張は最高潮に達した。
その威厳たるや、頭上の王冠がなかったとしても彼が王であることを疑う余地はない。
「遠いところをよく来てくれたね」
ラインハルトは気を使ってフォトキナ語で話しかけてくれた。
「本日はお招きありがとうございます。私はアルセウス・オルディン。こちらは母のカレン・オルディンでございます」
だがアルスは完璧なブリュオー語で返した。
アルスは緊張していない。それどころかラインハルトと話が出来る興奮が溢れるような口調だ。
「これは驚いた。アルベルトより美しい完璧な発音だ。
アルセウス殿、ブリュオーの印象はいかがかな?」
「ここへ来る途中の城下町の活気は素晴らしかったです。日々の生活が安定しているのでしょう、町中人々の笑顔であふれていました。
また城内も華美過ぎず有事にも備えた堅固な装飾。兵士も陛下をお守りするという仕事への誇りに満ちている。
フォトキナが失ったすべての理想がここにありました」
ラインハルトは笑顔で語るアルスの顔を観察するかのようにじっと見つめている。
「陛下、私の顔に、何か?」
「あ、いや。不躾にすまない。八歳と聞いていたものでね。あまりにしっかりしているから本当は子供の姿をした大人かと思ってしまったよ。
カルヴィン・オルディン氏の教育のたまもの、ですか」