砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
終章
宰相のレオポルトが味方についたことで、風向きは一気にアベルへと向かう。
アベルの王位奪還はあっけないほどスムーズだった。

何しろ、フォトキナで最も発言力のある宰相師レオポルト、筆頭貴族のオルディン家、それにブリュオー王国のラインハルト国王まで味方につけている時点でディアルドに勝ち目はなかった。

政治への関心を失っていたディアルドは,跡継ぎをもうけるという重責から逃れられる、とアベルに王位を譲ることにすぐに同意した。
退位後は愛妾のサラと共に隠居することとなった。

正妃ジョセフィンは息子のリチャードと共に母国ブリュオーに帰ることを選んだ。


愚王子を演じてきた少年は大人になって、アルベルト五世を名乗りフォトキナの国王となった。

そして、砂上の城として秘密を抱えて生きた少年は大人になって、カレン・オルディンと名乗りフォトキナ王国の王妃となったのだ。
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