砂上の城〜秘密を抱えた少年の数奇な運命
砂上の城
「チッ、サラでもだめか」
オルディン家の紋章の入ったカインの手紙を握りつぶし、アベルはそれをゴミ箱へと放った。ただの紙くずと化した手紙はゴミ箱の端にはじかれて床に落ちた。
「カルヴィンほどの才能ならオルディン家の職務くらい簡単にさばけるでしょうに。
父君を亡くした気鬱が晴れないのかもしれませんね」
アベルが外した紙くずを拾ってゴミ箱に入れながら師レオポルトが言った。
カインに代わってアベルの補佐をするものの、国王が代替わりした忙しさもあり、アベルの為にあまり時間を取れなかった。
「気鬱か。そうかもしれないな。俺も息が詰まりそうだ。
師レオポルト、俺、もう逃げたいよ。勉強したくなくて逃げ回ってたガキの時みたいに」
「たまには気晴らししてみてはいかがか?
以前のように馬に乗ったり。舞踏会で女性たちと恋愛ゲームでもいい。
少しくらいの心の休憩は必要ですよ。アベル王子も、おそらくカルヴィンにも」
「馬か!そうだな、久しぶりに誘ってみるか。
手紙で呼び出しなんて俺らしくないことはやめよう」
アベルが久しぶりにニヤリと笑った。悪事を考えている時の楽しそうな笑顔。ヤンチャだった彼の幼き日を思い出して師レオポルトも笑みをこぼした。
オルディン家の紋章の入ったカインの手紙を握りつぶし、アベルはそれをゴミ箱へと放った。ただの紙くずと化した手紙はゴミ箱の端にはじかれて床に落ちた。
「カルヴィンほどの才能ならオルディン家の職務くらい簡単にさばけるでしょうに。
父君を亡くした気鬱が晴れないのかもしれませんね」
アベルが外した紙くずを拾ってゴミ箱に入れながら師レオポルトが言った。
カインに代わってアベルの補佐をするものの、国王が代替わりした忙しさもあり、アベルの為にあまり時間を取れなかった。
「気鬱か。そうかもしれないな。俺も息が詰まりそうだ。
師レオポルト、俺、もう逃げたいよ。勉強したくなくて逃げ回ってたガキの時みたいに」
「たまには気晴らししてみてはいかがか?
以前のように馬に乗ったり。舞踏会で女性たちと恋愛ゲームでもいい。
少しくらいの心の休憩は必要ですよ。アベル王子も、おそらくカルヴィンにも」
「馬か!そうだな、久しぶりに誘ってみるか。
手紙で呼び出しなんて俺らしくないことはやめよう」
アベルが久しぶりにニヤリと笑った。悪事を考えている時の楽しそうな笑顔。ヤンチャだった彼の幼き日を思い出して師レオポルトも笑みをこぼした。