エリートSPはようやく見つけたママと娘をとろ甘溺愛で離さない
はじめまして、パパ
「はじめまして。和臣です」

 しゃがんだ体勢で、和臣の大きな手が和の髪に触れる。

 やわらかな茶色の猫っ毛。

 色も髪質も、きっと和臣譲りだ。

「は、はじめましてっ! のどかです!」

 梓が教えた通りに和は挨拶をする。

 セミフォーマルに近い、ピンクに白いフリルのついたワンピースを着た和は、緊張した面持ちだった。

 子どもなりに、重要なことだと理解しているのだろう。

 しかし、緊張という点に関しては梓も同じだ。

 今日は和臣と和が正式に顔を合わせる日。

 あの、カフェで話をしてから約一ヵ月後のことだ。

 もう秋の気配もしてくる頃になっている。

 和臣がはじめに梓のところを訪ねてきたときに遭遇したのだし、そのあとも事務的なやり取りではあったが、数度顔を合わせている。

 だから「はじめまして」は、本当は正しくないのかもしれない。

 だが、今の二人にとっては一番相応しいだろうと思ったのだ。
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