幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました
流れる時間はあたたかに
「今日はだいぶ冷えるね。あったかいシチューを作ったの」

「こんばんは!」と訪ねてきた明依が持ってきてくれたのは、大きな包み。風呂敷に包まれたそれは、圧力鍋だそうだ。

「ありがとう! 上がって!」

「うん、お邪魔するね」

 迎えた沙也は、笑顔で靴箱からスリッパを取り出して、玄関先に置く。かわいいベージュのトレンチコートを着た明依も、屈んでショートブーツを脱ぎはじめた。

 あれから季節は流れ、十月になった。

 このマンションに引っ越してからは、約二ヵ月が経っている。

 マンションの三階に位置する1DKの小さな部屋だが、設備はそれなりに整っている。お風呂とトイレも別だ。

 リビングにはソファとローテーブルなどの家具や、テレビなどの家電を置き、もう一室は寝室として、ベッドや鏡台などを置いている。

 お揃いのベージュのカーテンを付けて、内装も茶色系の色味で統一させて、自分好みに作り上げた。

 そして妊娠してからは、そろそろ半年だ。

 だいぶ体調の変化にも馴染んだ。沙也のお腹も、今日着ているAラインのゆるっとしたワンピースの上からでも、膨らみがわかるくらいになっている。

 ただ、安定期に入ったので、初期よりも体調は落ち着いていた。会社を休むことも、ほとんどなく通えている。

 幸い、ここまでは順調に進んでいた。清登に悟られている様子はないし、両親もこまめに連絡をくれて、半月に一回ほどは様子を見に訪ねてくる。

 健診でも毎回問題ないと言われていて、毎回そう聞けるときは安堵してしまうのだった。

 そんな日々の、今日は日曜日。

 明依が「夕飯、一緒に食べない?」と誘ってくれたので、待っていた次第だ。
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