幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました
清登からの招待状
「一応、渡しておいたほうがいいかと思って……」

 一通のフォーマルな封書を持った母が訪ねてきたとき、沙也はすぐに理解した。

 これがなんであるかも、これからのことがどうなるのかも。

「ありがとう。……私にもわざわざ送ってくれたんだね」

 沙也は受け取り、大切に手に持った。

 表面に書かれた、自分の名前を見つめる。

 住所はここではない。

 実家だった。

 それはそうだ、送ってきた相手はこの住所を知らないどころか、沙也がここに住んでいることも知らないし、もっと言えば、まだ沙也を実家に住んでいると思っているだろうから。

「まーまぁ」

 うしろから洋斗がよちよち歩いてきて、正座していた沙也の肩にくっついてくる。

「ん? 飽きちゃった?」

 その洋斗をちょっと振り返った沙也は笑顔になり、そっと抱き上げて、自分の膝に乗せた。

 今まで大人しく一人遊びをしていた洋斗は、そろそろ構ってほしかったようで、沙也の膝に乗れて満足したようだ。
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