幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました
きっと大丈夫
「……そうなんだ。それは難問だね」

 一通り話を聞いてくれてから、明依は小さく言って、視線をテーブルに落とした。

 今日はだいぶ気温が高い。沙也も明依も、半袖の薄着スタイルだった。洋斗も同じだ。半袖にズボンの姿。

 テーブルにはアイスティーのグラスがふたつ置いてあった。その横には麦茶が入っていたプラスチックのコップも。

 中身はとっくに空になり、それを飲み干した洋斗は沙也の膝に座り、おもちゃをいじくりまわしていた。知育玩具なので気を取られているようで、しばらくそちらに集中してくれるだろう。

「うん……、だいぶ悩んじゃってるの」

 沙也は気をつけながら手を伸ばして、グラスを手に取った。ひとくち飲めば、アイスティーが、心地良く喉を通っていく。

 それにつられたように、明依もグラスに手を伸ばした。同じように飲む。自分を落ち着けるような飲み方だ、と沙也は思った。

 今日は休日に明依が家に来てくれた。「聞いてほしいことがあるんだけど」とお願いした沙也の言葉か、言い方からか、真剣で重大な話だと知ったようで、ちょっと構えてやってきたらしい。

 その通り、重大すぎる話を相談するのに気は引けるけど、明依は言った。

 洋斗の妊娠が明らかになったとき。

『絶対に抱え込まないで』

 ああ言ってくれたから、今回、相談することができたと思う。
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