幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました
十日間の恋人契約
「婚約することになったんだ」
清登から聞かされたのは、あの夜から数えて、十日ほど前のこと。
沙也はそのとき、一体なにを言われたのかわからなかった。
五月の爽やかな風が吹き抜ける、カフェのテラス席だった。初夏らしいハーブティーをオーダーして、沙也は「とてもいい香り!」とすぐひとくち飲んだのに、清登はまったく手をつけようとしなかった。
その様子に軽い違和感を覚えたのに、清登が切り出したのは、これ。違和感なんてあって当たり前のことだった。
久しぶりに休日、会えるというからお気に入りのワンピースを着て、お洒落をした。
嬉しく思いつつやってきたのに、そして会った清登も開襟シャツに細身のスラックスという、やや硬いながらもカジュアルな休日スタイルでとても素敵だったのに。
この楽しい気持ちは、一瞬にして無になった。
「……そうなんだ」
でも意外というわけではない。
ただ、「ああ、来てしまった」と思った。
いつかはこういう日が来るとわかっていたから。
清登から聞かされたのは、あの夜から数えて、十日ほど前のこと。
沙也はそのとき、一体なにを言われたのかわからなかった。
五月の爽やかな風が吹き抜ける、カフェのテラス席だった。初夏らしいハーブティーをオーダーして、沙也は「とてもいい香り!」とすぐひとくち飲んだのに、清登はまったく手をつけようとしなかった。
その様子に軽い違和感を覚えたのに、清登が切り出したのは、これ。違和感なんてあって当たり前のことだった。
久しぶりに休日、会えるというからお気に入りのワンピースを着て、お洒落をした。
嬉しく思いつつやってきたのに、そして会った清登も開襟シャツに細身のスラックスという、やや硬いながらもカジュアルな休日スタイルでとても素敵だったのに。
この楽しい気持ちは、一瞬にして無になった。
「……そうなんだ」
でも意外というわけではない。
ただ、「ああ、来てしまった」と思った。
いつかはこういう日が来るとわかっていたから。