幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました
すべてを知って
「……そうか」

 沙也の話を一通り聞いて、清登は小さく言った。

 それは受け止めの言葉だった。

 否定でも肯定でもない。

 でも沙也の言葉はすべて呑み込んだ。

 その気持ちが表れた声と言葉だ。

「ありがとう、沙也。話してくれて」

 まず清登が言ったのはそれだった。

 沙也はどう答えていいか少し迷って、結局「うん」とだけ頷いた。

 しばらく沈黙が落ちる。

 互いに自分の中で考えていたからだ。

 このあとなにを言うかを、ひいてはこのあとどうするかを。

「俺はやっぱり、沙也に謝らないといけないよ」

 やがて、ぽつんと清登が言った。
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