幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました
清登と洋斗
 それからわずか一時間ほどあとのこと。

 沙也と清登は、沙也のマンションにいた。

 清登は先回りして沙也のマンションに車で向かってもらって。

 沙也のほうは、一人で実家に戻って母から洋斗を引き取ってきた。

 まさか、こんなあやふやな現状で、母に知られるわけにはいかない。

 だから今は少しだけ許して、と心痛みながらも、単に「見てくれてありがとう」とお礼を言って、引き取り、マンションへ帰った。

 洋斗を抱いて、電車に乗って帰る間、洋斗は妙に機嫌が良かった。

 預けたときはいつもそうであるように、母に遊んでもらったからだろう。

 でも子どもは、この世にやってきてから時間がまだ経っていないだけあって、感覚が鋭いと言われている。

 洋斗もその例により、まるでこのあとのことを悟って機嫌が良かったように、沙也は感じてしまった。

 そしてその感覚は示していた。

 やはり後悔することにはならない。

 きっとならない、と。

 マンションへ帰ると、マンションの駐車場で清登が待っていた。

 沙也が教えた通りの来客用スペースに停めて、車内で待っていてくれたらしい。

 その清登と共にマンションの自室へ向かって、中へ入って……。

 リビングで改めて、抱っこした洋斗を清登に顔見せした。
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