幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました
清登の両親と
 そのような変化がたくさんあった、夏という季節。

 真夏はあっという間に過ぎてしまった。秋の気配がしてくるのすら、一瞬だったような気がしたくらいだ。

 沙也と洋斗の引っ越し先、清登が住んでいた家での生活もだいぶ慣れてきた頃の日曜日。家に来客があった。

 2LDKの家の真ん中にある広いリビングで、インターホンが軽快に鳴る。

 リビングはダークブラウンを基調とした内装だ。主にラグとカーテンがその色であるために、落ち着きとあたたかみを両方感じられる。

 家具は大型のソファに長テーブル、それからテレビや本棚といったものたちが壁沿いに配置されていた。

 そんな部屋で過ごしていたときのインターホンに、はじめに反応したのは洋斗だった。

「ぱーぁぱ! おきゃくーさーん!」

 ソファで清登に絵本を読んでもらっていたところから、ぱっと顔を上げる。今日は長袖になったシャツと、紺色のズボンを穿いた格好だ。

 その洋斗からパパと呼ばれるのもすっかり定着した清登は嬉しそうに、優しげに微笑んだ。

「ああ。じぃじとばぁばだな」

 薄手のオーバーサイズシャツに、チノパンというスタイルの清登はそう言って、絵本をそっと閉じて、テーブルに戻した。

「お迎えに行こう、洋斗」
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