幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました
ディナーは特別おめかしして
 滑らかな素材の美しいワンピースに袖を通しながら、沙也は緊張や感動にドキドキしていた。

 淡い水色の半袖ワンピース。

 白いレースのボレロ。

 足元は、リボン飾りがついている黒いパンプス。

 小さなチャームがついているだけの、シンプルなネックレスとイヤリングまで。

 こんな素敵な服装はほとんど着たことがない沙也は、着方に少し悩みながら、ゆっくり身に着けていった。

 ドライブから戻ってきた都内のホテル、その一室。

 清登は後部座席に置いてあった大きな紙袋を差し出して、「これ、沙也に」と渡してきた。

 なんだろう、と思った沙也だったが、中を覗いて目を真ん丸にしてしまったのは言うまでもない。

 入っていたのは、現在、沙也が身に着けているセミフォーマルスタイル一式だったのだから。

「ホテルディナーだからね。一応、少しかしこまった格好が相応しいかな、と」

 清登の気遣いに、沙也は感じ入ってしまった。
< 37 / 358 >

この作品をシェア

pagetop