幼馴染御曹司と十日間の恋人契約で愛を孕んだら彼の独占欲が全開になりました
あなたの味方
「あ、良かった! 大丈夫? 気分は悪くない?」

 目に映ったのは、ほっとした表情をした、友達の顔。

 明依の顔だ。

 沙也を呼んでいたけれど、沙也はまず思ってしまった。

 この声じゃないな。

 確かに優しくて、自分を呼んでくれてるけど、あれは明依じゃなかった。

 じゃあ、一体、だれ。

 まだ半分眠っていた沙也はぼんやり思ったけれど、やがて少しずつ覚醒してきた。

 それに比例して、夢はすぅっと薄くなっていって、沙也が体を起こす頃には、すっかり見えなくなってしまった。

 沙也が自覚することはなかったけれど。

「うん……だいぶ、いい……みたい」

 かすれた声で、返事をする。

 そのときにはもう、だいぶ意識は通常に戻っていた。
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