シンデレラは王子様と離婚することになりました。

第二章 いきなり社長と同棲生活

 港区にある超高級分譲地。

 都内に住んでいても足を踏み入れたことはない、場違い感漂う邸宅街。その一角に高級車は進んでいく。むしろ高級車でなければ浮いてしまいそうな場所だ。

 その中でもひときわ目立つ、大使館や歴史的建造物のような低層高級マンション。東京でありながら、豊かな緑に囲まれている。

 深夜だけれど、イルミネーションのように明かりがともっていて、美しく配された壁面と豪華な装飾により、華麗な存在感を放っていた。白い石造りのエントランスは植栽に囲まれていて、中ではコンシェルジュが待機していた。

 車のドアは開いているけれど、降りるのが憂鬱で座ったまま固まっていると、一足先に降りていた社長が覗き込んできた。

「おい、さっさと降りろ」

 うわ~、もう怖いよ、この人。

 私の旦那様になる麗しい社長の顔を睨みつけて、車から降りた。

「それではまた、いつもの時間にお迎えに上がります」

 若いイケメンの運転手さんが、丁寧に別れの挨拶を口にした。

 社長は片手を挙げて運転手に承諾の旨を伝え、私の腰に手を回してエスコートするようにエントランスに入っていく。

 いやいやいや、なにこの状況。

 コンシェルジュさんに見せつけるかのように、『こいつ、俺の女だから』アピール。

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