極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む
3.
 季節はめぐり、あれからもうすぐ四年。
 柔らかい陽気の五月がきた。

「じゃあね、夕方お迎えに来るね」
「はあい」

 拓斗は保育士の先生と手を繋ぎ、大きくうなづく。

「それじゃ先生、よろしくお願いします」
「はい、行ってらっしゃい」

 バイバイと手を振って保育室を出て、そのまま廊下を歩きロッカールームへと入る。
 ピンクのナース服に着替えると、三階の小児科病棟へと向かった。

「おはようございます」
「おはようございます、小鳥遊さん」

 他のナースたちと挨拶を交わし、パソコンで今日の業務内容の確認をする。
 すると、「おはよう」と低い声がした。
 顔を上げれば、康太くんがいる。

「康太先生、おはようございます」
「拓斗くんはもうお熱大丈夫?」
「はい。お薬が効いたみたいです」

 康太くんは、よかった、と微笑む。
 昨日保育室のお迎えのときに微熱があったから、康太くんに薬を処方してもらっていたのだ。

「今日も一日よろしく頼むよ」
「はい」

 康太くんは白衣を翻して去っていく。

「康太先生、朝から爽やかで素敵ですよねえ」
「ホント、目の保養になるわ」

 後ろで同僚たちが黄色い声をあげている。
康太くんは学生時代の変わらず、やっぱり今でもモテるのだ。

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