極上ドクターは再会したママとベビーを深い愛で包み込む
4.
それから拓海さんは、時折公園に来るようになった。
まだ夕方の時間。
拓海さんの勤める桜ヶ丘総合病院からここまで車で三十分以上かかるため、忙しい合間を縫ってきてくれているのは明らかだ。
きっと戻ったらまた仕事が待っているんだろう。
そう思うと申し訳ないけれど、拓海さんは私たちを見つけるといつも穏やかに微笑んでくれる。
拓斗は「たくみくんくる?」と毎日のように私に聞いてきて、拓海さんが来た日は喜んで一緒にお話ししている。
そして私も……今日は拓海さん来るかな?なんて毎日ドキドキしながら、来てくれた日は嬉しくて、来なかった日は少し残念な気持ちになる。

「小児科病棟はどうだ?GCUとは勝手が違うだろう」
「はい。GCUもベビーの泣き声で賑やかでしたけど、小児科もとても賑やかですよ。時間が空けば本を読んであげたり、和気藹々としてます」
「そうか。育児も家事もあるし、あまり心労を増やすなよ?」

拓海さんの物言いに、思わず笑みが溢れる。

「大変なのは拓海さんじゃないですか。相変わらずオペも多くて気を抜けないでしょう?」
「俺はこうして菜乃花と拓斗くんに会えるから頑張れる」

ドキ、と心臓が音を鳴らす。
そういえば……と気になっていたことを尋ねてみることにした。

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