幼なじみの不器用な愛し方

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新学期、学校中はその話題で持ちきりだった。


「ドラマ出るとかやばー!」

「主演の前田マサキに推されて起用されたってニュースに書いてたよ!」

「主題歌のMVにも出るとかやばくない!?」


夏休みの思い出もそこそこに、みんなが揃って口にするのは自分の席でうたた寝する有斗のことだった。


「いやぁ、びっくりだねぇ。みーちゃん、知ってたの?」


ツジと一緒に登校してきた結子に聞かれて、わたしはぶんぶんと首を振る。


「まさか。わたしもびっくりしたよ」

「みーちゃんにも内緒だったのかぁ。さすが、プロだね〜」

「休みの間、いくら誘っても断られ続けるわけだな」


感心する結子と納得した様子のツジと一緒になって、視線を投げた。

どれだけ視線を浴びようとお構いなしに、朝礼までのわずかな時間を睡眠に充てている。


「撮影まだ続いてんの?」

「ううん。夏休みに全部済んだらしいよ」

「へぇ。今月は入試もあるだろうし、色々バタバタだな」
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