幼なじみの不器用な愛し方

幼なじみはとってもモテます。

「さすがのわたしもフォローできないよ、みーちゃん」


事の顛末を洗いざらい話した後、結子から返ってきたのはそんな無慈悲な言葉だった。

人目を避けてやってきた空き教室で、お弁当を前にわたしは項垂れるしかない。


「有斗、全然こっちを見ないの」


1時間目から4時間目までの授業を終えた。その間、視線が絡むことは一度もなかった。

そんなこと、これまでは絶対になかった。

休み時間にはふらっとわたしのところに来ていたし、授業中に黒板に問いを書きに行った帰りに軽くちょっかいを出しに来たこともあった。

目が合わない──と言うより、合わせないようにされている。


拒絶されたという事実が、そして幼なじみにそれを選択させたという自分が、重く重くわたしにのしかかっている。


「謝ることが正解なのかも……よくわからなくて」


結子は何も言わなかった。

結子はわたしの友達であると同時に、有斗の友達でもある。

何も言わない彼女の聡明さに救われ、そして打ちのめされた。


お弁当はまだまだ残っていたけれど、喉を通らなくて蓋を閉じる。
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