幼なじみの不器用な愛し方

幼なじみは夢現のようです。

有斗の熱はやっぱり長引いて、次の日も変わらずわたしは1人で学校に行った。

いつもより早めに家を出たのは、どうしても確かめたいことがあったから。

まだ人影のまばらな教室に鞄を置いて、廊下の窓から顔を出した。


たくさんの生徒の中から彼を見つけられる保証はなかったし、確実にその光景を見られるかもわからなかった。

けど許す限りの時間をわずかな可能性にかけて、奇しくも望みは叶った。


校舎へと続くアスファルトの道の向こうに、彼の姿を見つけた。

彼の笑顔はいつも太陽みたいに眩しくて、人が集まるのもよくわかる。

談笑しながら歩いてくる谷瀬くんの周りには女の子もいて、親しそうに話しているのが見えた。


「……」


自分の気持ちを自覚した今ならわかる。

隣にいる女の子は、谷瀬くんのことが好きなんだろうな。

真っ直ぐで、純粋で、惜しみない優しさを向けてくれる。そんな谷瀬くんを、女の子がほっておくはずがない。


昨日から、少しだけ不安だった。
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