幼なじみの不器用な愛し方

幼なじみはご乱心のようです。

「美月先輩、当日って基本的には座ってるだけでいいんですよね?」

「谷瀬くん、言い方。間違いじゃないけどさ」


いよいよ体育祭の準備も大詰め。

割り振った班での役割とは別に、委員会全体で手掛けた入退場門の制作も終わり、当日のスケジュール確認を行っていた。


「基本的には保健の先生がいるからね。わたし達はあくまでも案内とか。

やったとしても簡単な消毒とかくらいだと思うけど、それも先生が不在の時とか、混み合ってる時くらいだと思うよ」


正直、実行委員の当日の役割の中では一番楽な係だと思う。

希望者の少ない係に立候補して救護係になったけれど、今思ってもなんで人気がなかったのか、謎だなぁ……。


「あれっ、当日2人がペアなのか?」


活動場所である視聴覚室に、一際響く声。

振り返ると、輪から離れてこちらにやってくる菊池の姿が見えた。

その手には、さっき全体に配布した当日の人員配置が書かれたプリントが握られている。
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