幼なじみの不器用な愛し方

幼なじみは大変ご多忙です。

無事に期末テストも終え、夏休みに入った。

とはいえ、わたし達は受験生。

希望者だけではあるものの夏期講習があり、わたしももれなくそれに参加している。


「んー、疲れたぁ……!」


お昼休みを知らせるチャイムの後、ペンを置いて唸ったのはメグちゃんだ。

夏期講習は全クラス合同で、委員会でも使っていた視聴覚室で行われている。

隣には真由美ちゃんが座っていて、2人とも、近郊の大学を目指しているらしい。

初日、視聴覚室に現れたわたしにメグちゃんが声をかけてくれてから、わたし達は一緒に講習を受けている。


「お腹空いた〜。お昼、どうする?」

「あ、わたし今日お弁当なくって。食堂に行きたいなぁって思ってたんだけど」

「わたしもジュース買いたいし、お昼は食堂行こっか!」


お財布やお弁当を手に、食堂を目指して歩く。

真由美ちゃんがわたしの顔を覗き込むようにして小首を傾げた。


「美月ちゃんが食堂って、珍しいよね? いつもお弁当持ってきてるイメージだった」

「あー……うん。いつもは自分で作ってるんだけど」
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