冷酷弁護士と契約結婚
鈴音サイド
この1か月、思っていた以上に暮らしやすい。きっと涼介さんがいろいろ気にかけてくれているからだろう。


初めて会った日の事を鮮明に覚えている。とにかく圧があり冷たい印象で、あの日私は彼から言われたことで、とても傷ついた。


先日このことを彼に伝えると、彼自身に罪悪感があったらしく謝罪された。あんな最悪な出会いではあったけれど、結局私に救いの手を差し伸べてくれたのは涼介さんだけ。あっ、お義父(とう)さんも。





私は男の人が苦手だ。今まで嫌な思いを沢山してきたから。だからお付き合いも手をつないだこともない。


契約内容にスキンシップと手をつないで寝るって見たときは、心臓が止まるかと思った。だって涼介さんは好きでもない人と、いわゆる大人の関係になれるって言ってたし。


きっと私が男性に免疫がないと分かっていたのだろう。


初めの1週間一緒に手をつないで寝ることになかなか慣れず、緊張と怖さで寝不足になったのを覚えている。約束通り涼介さんはただ手をつないで眠るだけで、私が嫌がることや怖がることを一切しない。


最近では以前にもまして人目をはばからずにスキンシップや甘い言葉をかけてくれるので、本気になりそうで怖い。


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