蒼い空の下で愛を誓う〜飛行機を降りたパイロットはただ君を好きなだけの男〜

甘い旅行

やっとグアムにやってきた。

「はぁー、空が青い！！！」

私は空港を出ると大きく伸びをした。

あのあとただひたすらに沈黙を貫き仕事にのめり込み数日をやり過ごした。そうしてやっと休暇に入ることができた。チェックインするときにひとりきりなのを不審そうに見られたが会話を交わさずにやり過ごした。
空港ではWALのクルーがいるので私は単独でホテルに向かうことになっている。
スーツケースを受け取ると空港を出てタクシーに乗ろうとしたところでクルーから話かけられた。

「あら、鷺宮さんバケーション？」

「はい」

「ひとり……ってことはないわね、グアムで。そういえば結城さんも昨日から休暇だったかしら」

彼女が何を言いたいのかわかった。だからこそ無反応で返した。

「そうなんですね。では私は友人が待っているので失礼します」

そう言うと足早にタクシーに乗り込んだ。なぜこんなにも結城さんとの関係を疑われなければならないのだろう。せっかくグアムに到着して気分も晴れていたのに、今はどんよりしてしまった。
< 81 / 125 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop