続お菓子の国の王子様〜結婚に向けて〜       花村三姉妹  美愛と雅の物語
未来への誓い

未来への誓い

カーテンの外にいるジョセフと美愛は、テント内から流れる音楽を聞いている。エルガーの『愛の挨拶』がバックグラウンドで流れ、入口のカーテンがゆっくり左右に開かれた。




太陽の光に照らされた美しい花嫁姿の美愛。やっと目にした彼女の姿に、雅は息を呑んだ。


(あぁ、なんて美しいのだろう。太陽の光に照らされている彼女は、あの日と変わらない。大人になった彼女は、妖精や天使というよりも、むしろ女神のようだ。彼女はあの日から何も変わっていなかった。外見も内面も、彼女の美しさは出会った時から変わらずに育ってきたんだ)


開けられたカーテンを合図に、出席者全員が立ち上がった。




テントに入る前に、父親のジョセフが言った。


「君が恥ずかしがり屋だということは分かっているよ。でも、今日はここにいる皆さんに感謝の気持ちを込めて、顔を上げて、笑顔で私と歩こう」


すでにうつむいていた美愛は、父親の言葉にハッと気づいた。


(そうだよね、自分が家族だけのささやかな式にしたかったのに、みんながお祝いしてくれているのにうつむいていたら失礼だよね)


顔を上げて隣の父親を見ると、彼は笑顔でうなずいていた。


「さあ、行こう」
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