ドアマットヒロインは、 速攻終了いたします!~堅物のはずがワンコの公爵様に溺愛されてます~

50:さらば貧乏公爵領!(最終話)

 怒濤の結婚式を終え、王妃殿下が爽やかに、実に爽やかに去って行った。
 そして挙式から一ヶ月後。

「人が……たくさん来ている……」

 ギース様と私は領壁の上に立ち、行き交う人々を見ていた。
 ざわざわとした声は活気に満ちあふれ、領から出ていく人々は荷台に野菜や魚介類を載せている。
 やってくる人々は、乗合馬車や貴族の馬車、歩きの人々、実にさまざまな階層の人がいた。

「正直、私もここまで早く、人を呼べるとは思っていませんでした」

 これは義母様方の初動や、王妃様がサロンで宣伝してくださったことも大きい。
 それになにより、領民の作る料理屋、エステ、ホテルのサービスの良さ、ガラス工房やレストラン、それに領全体でこの盛り上がりに乗っていこう! という気概があったから実現できたのだ。
 そうじゃないと、一部の産業だけが盛り上がって終わりになってしまう。

「レダ、あなたのおかげだ」
「いいえ。ギース様を含めこれまでの領主様方が、領民と良い関係を築いてきたことが大きいのです」

 信頼関係がなければ、領民は領を離れていく。
 それをせず、辛いときに共に耐えてきたからこそ、今こうして花開くことができたのだ。

 思えば、もう名前も良く思い出せない元婚約者との婚約破棄の後、ギース様と出会えたことが全ての始まりだった。

「ギース様、私はあなたと出会えて本当に良かったです」
「それは、俺の台詞だな。レダがいなかったら、俺はいつまでも同じ場所であがき、遠回りしかできなかった」
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