姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です
答え合わせ
麻子はすぐに回復して、退院した。
退院の翌日には仕事に復帰しようとしたので、譲からストップがかかったくらい元気になっている。
今日は奈緒がアメリカから帰国する日だ。
迎えに行った崇が医師に体調を確認したら、帰国しても問題ないと言われたようだ。
松尾家の応接室で、叶奈と麻子はじっとソファーに座っている。琴子はまだ姿を見せていない。
(奈緒、まだかな)
叶奈がじりじりとした気持ちを抱えていたら、玄関チャイムの音が重々しく響いた。
ピクッと麻子の肩が揺れる。
「やっと、奈緒に会えるのね」
小さな声で麻子がつぶやいた。幼い頃に手離した奈緒を忘れたことはなかったのだろう。
今日はいつになく硬い表情で、麻子の緊張が叶奈にも伝わってくる。
応接室のドアが開くのをドキドキしながら待っていたら、琴子の悲鳴のような声が聞こえてきた。
「奈緒! あなた、なんてこと……」
「奥様、お気を確かに」
叶奈と麻子は何事かと、玄関に急いだ。
そこには廊下にうずくまる琴子と、それを支えようとする家政婦の姿があった。
崇と奈緒は玄関を入ったところで立ち尽くしていた。