姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です
まさかの再会
アメリカから帰国した恭介は、実家が経営している香川総合病院で働き始めたそうだ。
恭介目当ての患者が相次いで、とても忙しいらしい。
とにかく、見合いは仕切り直しということになってしまった。
だから叶奈はまだ遠藤家に帰れないので、最近ではメルボルンに行ける気がしなくなってきた。
おまけに奈緒が帰国する気配はまったくない。
それでも崇は奈緒のカードを止めないのだから、金銭的な不自由をさせたくないのだろう。
価値観の違いと言えばそれまでだが、叶奈は松尾家の人たちが何を考えているのかさっぱりわからない。
ふたたび琴子から連絡があったのは、二週間ほど経ってからだ。
見合いをやり直すだけかと思ったら、次の週末に恭介の友人の婚約披露パーティーがあるから一緒に出席してほしいそうだ。
驚いた叶奈が松尾家に行くと、琴子はゆったりとお茶を飲んでいた。
「そんな席に私が行ってもよろしいのでしょうか」
「もちろん、あちらのご希望だもの」
琴子は当然のように受け入れているが、叶奈はパーティーなんて経験したことはない。
戸惑う反面、失敗したら恭介から断られるきっかけになるかもしれないという考えも頭をよぎる。