姉の代わりにお見合いしろ? 私に拒否権はありません。でも、あこがれの人には絶対に内緒です
またひとつ、うそを重ねる





恭介の話したいことが何なのか気になりながらも、パーティーの日がやって来た。

日曜日の午後、迎えに来てくれた恭介はリーフ柄の目立つシャツに、リネンのジャケットという軽装だった。
叶奈は通販サイトで見つけたサンドレスに、コットン素材のカーディガンを羽織っている。
髪もストンと下ろしたままの叶奈がおしゃれな恭介と並ぶと、まるで引き立て役だ。

「なんていうか、この前とは別人みたいだね」

お見合いの日も、この前のパーティーの夜も、プロの手によるヘアメイクだった。
今日はふだんの叶奈の雰囲気に近いかもしれない。

「でも、新鮮でいいね」
「はい?」

まさか褒めてくれているのだろうか。叶奈の返事は素のままになってしまった。

ホテルに着くと、まっすぐ屋内プールに向かう。
ガラス張りだから、太陽の光を受けてとても明るい空間だ。
熱帯植物があちこちに配置され、飲み物をサービスしているウエイターたちもアロハシャツ姿。
水着姿の女性や筋肉自慢の男性が軽いアルコールや軽食を楽しんでいて、なかなかの露出度だ。

美容整形外科医だという恭介の友人は、ゲストの有名人たちに囲まれていた。




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